「ネトウヨは男のすることじゃない!」右翼民族派の主張
週刊ダイヤモンド編集部 2017.11.19
週刊ダイヤモンド11月18日号の特集は「右派×左派 ねじれで読み解く企業・経済・政治・大学」。“ネトウヨ”(ネット右翼)の台頭など社会全体の右傾化が叫ばれて久しい。政治の世界でも憲法改正を掲げる安倍政権の1強が続く。だが、こうした右傾化、保守化の動きに、当の右翼団体が実は違和感を感じている。今も民族派運動を続ける蜷川正大氏に話を聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)
安倍首相は憲法改正を主張するが果たして本当の意味での保守なのか
――現代日本の保守あるいは右派と呼ばれる勢力をどのように見ていますか。
正直に言って戸惑っています。10月の衆院議員選挙でも、「真の保守」とか「改革保守」といった言葉が飛び交い、日本における保守の定義とはいったい何なのだろうかと考えました。
おそらく自民党も希望の党も、保守を自称する国会議員の多くは、戦後の55年体制を保守する人たちなのではないかと思う。安倍晋三首相は憲法改正を主張していますが、ただ自衛隊を認めさせることだけが果たして本当の意味での保守なのか、僕らは疑問に思うわけです。
われわれ民族派が何を保守しようとしているのか。それは日本の伝統文化であり、その原点である御皇室の存在です。これらを守ることこそが、真の保守だと思う。
――日米安保条約も保守の対象なのでしょうか。
1960年代の安保闘争で、ほとんどの右翼が日米安保堅持の側に回りました。なぜなら戦後の公職追放により、民族派の右翼陣営が少数派で力もなかったからです。ソ連や中国の共産主義の脅威が目の前に現れ、日本国内でもその時代、「アカにあらずんば人にあらず」という風潮がありました。
右翼陣営は社会主義者や共産主義者に人数で負けていたので一時、任侠団体を動員した時代もありました。多くの右翼はそのときに「米国と一緒になってアジアに反共の防波堤を築かなければならない」と日米安保を是認したのです。
――今も日米安保は必要ですか。
米国と離れ、中国やロシアを相手に外交的な優位を保てるのか、という現実論になると、やはりある程度は日米安保が必要だとは思います。しかしソ連が崩壊した後、残念ながらわれわれは「日米安保がこのままでいいのか」という総括をしてこなかった。それは今も残念に思う。
1970年の三島事件をきっかけに、われわれ民族派は日米安保見直しと憲法改正はワンセットで議論するべきだという考えに変わった。憲法を改正するなら日米安保も互恵平等の条約に戻すのが筋だと思う。
――しかし安倍政権は安保堅持の立場です。
保守派の政治家の中には、日米安保を互恵平等にしようという考えを持っている人は必ずいる。しかしそれを言ってしまったら、選挙が危ない。政治は妥協の産物だから過激なことは言えない。一方でわれわれ運動家は在野にいるので、原理原則を主張しなければ存在価値がない。安保は互恵平等のものにする、反米ではなく対米。それがわれわれのスタンスです。
今は改憲勢力が増えはしましたが、安倍晋三首相が言うまやかしの改憲論ではなく、何のための、そして誰のための改憲か、ということが置き去りにされているように感じます。
日本会議は自民党の応援団共闘する意識は全くない
――改憲を主張する日本会議の活動をどのように見ていますか。
私たちは日本会議とほとんど付き合いがありません。日本会議は、自民党の応援団だと思っているので。確かに(日本会議事務総長の)椛島有三さんとか、1960年代の学生運動上がりのメンバーは多い。
一方でわれわれは、大日本愛国党とか戦前からの伝統を受け継いだ行動右翼の運動の流れをくんでいます。日本会議は「右翼団体と一緒にするな」と思っているかもしれませんが、多分われわれ民族派も日本会議に関心のある人は少ないのではないでしょうか。
日本会議は、街宣車を走らせたり、デモを行ったりといった、いわゆる行動右翼の運動とは違う。自民党の応援団として直接的に影響力を及ぼす運動形態は大きな力になってはいると思う。ただし私たちは彼らと共闘する意識は全くない。
――蜷川さんが経営している二十一世紀書院では、民族派活動家の野村秋介氏の書籍を出版・販売し続けています。野村氏の何を今この時代に伝えたいのでしょうか。
野村は「日本の戦後は、日米安保の元に築かれた奴隷の平和と魂のない繁栄だ」「今の日本の経済力は砂上の楼閣で、いつ崩れるかわからない。早く目を覚まさないと必ず日本の精神性は滅びる」と、よく言っていました。そして「俺は戦前戦中戦後の日本を見た。日本の明日はもう見たくない」と言い残し、1993年に朝日新聞東京本社で拳銃自殺しました。
例えば「万死に値する」という言葉を使う人がいる。つまり1万回死ぬに値すると。ならば1回でも死んだことがあるのか。政治家が簡単にそんな言葉を使うが、言葉はそんなに軽いものではあってはならないと野村は示して見せた。民族派運動は、死んだ友に背かず声を伝えていくことにあります。
今の日本の繁栄があるのは先の大戦で亡くなった方々のご苦労があるから。それに三島や野村が何のために死んだのか、僕らが伝えていく意味はあると思っています。出版社としての経営は全然ダメですが(笑)、野村の生き様を多くの人に知ってもらう運動として出版を継続したい。
日本人は意識せずとも皇室と一体となって生活している
――民族派の生き様とは何ですか。
嫌な言葉ですが、テロを担保し留保しつつも運動するのが民族派の原点だと思っています。暴力がいけないというのは、三つ子だって分かる。しかし、今の日本の平和と繁栄があるのは幕末期におびただしいい血が流れ、明治維新が成し遂げられたから。時代の変革期にはどうしてもそういうことが必要だったりする。
――愛国心とは何だと思いますか。
愛国心ってそんなに声高に強調するべきものではないと思う。戦前みたいに、電車の窓から皇居が見えたら敬礼させるというのには、僕は賛成できない。愛国心は消えたら困りますけど、日本人のように生活や文化に根ざした愛国心は絶対に消えないと思います。
例えば、女の子が生まれたら多くの家庭で雛人形を飾ります。この雛人形は、天皇皇后様を模したお飾りです。あるいは昭和何年生まれという言い方は、昭和天皇が御即位されて何年目に生まれたという意味。日本人は意識せずとも皇室と一体となって生活しているんだと思います。
――蜷川さんが民族派運動に関わり始めたきっかは
やはり1970年の三島事件ですね。当時、僕は19歳でした。それまでは政治に興味がない普通の青年でした。でもあの事件が起きて心がズキっとした。天皇や国家、政治とは何か、三島はなぜ死ぬ必要があったのか、考え始めるきっかけになりました。間違いなくあの事件は、自分にとって人生のターニングポイントでした。僕は昭和26年生まれですが、僕らの世代で右翼活動に関わっている大半の人は三島事件に影響を受けていると思います。
匿名でモノを言う人は右も左も嫌い
――今は若い世代を中心にネット右翼が台頭しています
全然評価しない。僕は匿名でモノを言う人は右も左も嫌いです。自分の言動に責任を持つのは最低限のマナーだと思うからです。こたつの中でヌクヌクとしてながら過激な言葉を発するのは男のすることじゃない。例えば朝鮮人がどうとか個人の国籍を否定しても意味がない。個人に石を投げるのは卑怯じゃないですか。
僕は右翼ですけど、実は左翼の友達もいっぱいいる。野村の慰霊祭を毎年開いていますが、元連合赤軍活動家の植垣康博さんも参加してくれている。人と付き合うのに思想なんか関係ない。右翼の中にだって嫌いな人もいっぱいいます(笑)。
――社会全体の右傾化が叫ばれて久しい
僕は朝日新聞を好きじゃないが、じゃあ全て産経新聞になっていいかというとそれも違う。反対意見がなくなると議論は活性化しない。嫌だけど反対の意見にも耳を傾けることが物事を考えるきっかけになるんです。そうしないとファシズムになってしまう。双方が日本男児であるべきだと思う。
『週刊ダイヤモンド』11月18日号の第1特集は「右派×左派 ねじれで読み解く企業・経済・政治・大学」です。右派と左派。そう聞けば自分とは関係ない世界の話だと思う人が多いでしょう。ただ、現在の日本をこの両極から読み解くと、これまでとは異なる社会、経済、政治の断面を見ることができます。
すでに壊れた冷戦構造の残滓であるイデオロギーから現代を読み解くことを無意味と断じる向きもありますが、私はそうは思いません。日本では今、右派と左派のねじれが顕著で、そうしたねじれがあるところにこそ、社会の矛盾が凝縮されるからです。本特集では企業・経営者の保守人脈から「自称リベラル」の真実まで、左右にまつわる事象を硬軟織り交ぜてお届けします。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 山口圭介)
===週刊ダイヤモンド記事(ここまで)===
以下 文責 マリヤ・マグダレナ
少し古い記事ですが、読む価値はあります。
ネトウヨさま、右翼民族派の言葉を聞きましょう。
『こたつの中でヌクヌクとしてながら過激な言葉を発するのは男のすることじゃない。例えば朝鮮人がどうとか個人の国籍を否定しても意味がない。個人に石を投げるのは卑怯じゃないですか。』
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政治経済、旅行、株式投資、仮想通貨投資を話題にします。 mixi では運営事務局によって一方的に利用停止されて慇懃無礼な退会勧告までいただきました。そのメールには些細な理由が書かれたいましたが、主たる理由は、ネトウヨ天国といわれる mixi が安倍政権に忖度し、その批判に偏狭な対応をするということ。山口敬之と安倍晋三首相との関係を追及すべきであるとのつぶやきと日記がお気に召さなかったようです。
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