コラム:トランプ氏の手に余る米中貿易問題の根深さ
REUTERS コラム2018年3月23日 / 08:31 / 3時間前更新
[ワシントン 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領は米中貿易摩擦を増大させるかもしれない。だが鉄鋼・アルミニウムの輸入制限と異なり、この闘いは、到底トランプ氏1人の手に負える規模ではない。トランプ氏は22日、中国の知的財政権侵害を巡って中国製品に包括的な関税を課し、中国の対米投資を制限する大統領覚書に署名したが、その効果となると象徴的な意味しか持たないのではないか。
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中国たたきの機運は何年もの間じりじりと高まり続けてきただけに、トランプ氏が手を付けなくても、恐らく何らかの措置が講じられただろう。ワシントンの政策担当者の考え方は変化した。というのも数年前までは実現が有望視されていた、中国経済から政府の存在をなくしていくという取り組みの進展が、鈍ったか止まったと感じられているからだ。中国国有企業は一段と巨大化し、特にハイテク分野で華為技術(ファーウェイ)などが米大手企業に真っ向から挑戦している。このため、中国の当局者は経済自由化を本気で進めるつもりがないのに、交渉を続けていたとの見方が強まった。
トランプ氏は米通商代表部(USTR)に関税対象となる中国製品のリストを公表するよう命じ、最大600億ドル相当の中国製品に影響が及ぶと説明した。米財務省は、米国資産を購入する中国の買い手に対する新たな規制を策定する。いずれも中国が米国の知的財政権を侵害しているとされることへの対応で、この問題は中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟する前から懸念されていた。
今後中国側はいくつかの対抗策を打ち出すとともに、トランプ政権をなだめる提案をしてくると考えられる。例えば合弁の基準に関する法令を改正したり、自動車分野の関税引き下げ、あるいは何らかの自主的な輸出・投資規制などを申し出てくるかもしれない。あるいは2015年に米中両国が政府による産業スパイ行為の禁止で合意に成功した事例を持ち出すだろう。この合意の履行はほぼ停滞しているように見えるが。
問題は、ワシントンの政策担当者を最もいら立たせていると思われる要素のほとんどは、根が深いことにある。中国政府が国家主導の企業政策や産業政策を放棄する可能性は極めて乏しい。それはつまり習近平国家主席と官僚集団はこれからも、経済各層に対して圧力の程度に差はあるにしても介入を続ける必要があるという話だ。米国による関税や投資制限は多少痛みを与えるだろうが、中国の姿勢を全面的に変えられそうにはない。中国が変わる日々が訪れるころには、トランプ氏が大統領だった時代など遠い昔になっているかもしれない。
●背景となるニュース
*トランプ大統領は22日、米通商代表部(USTR)に15日以内に関税対象となる中国製品のリストを公表するよう命じる大統領覚書に署名した。米財務省は60日以内に、中国の対米投資規制案をまとめる。
*トランプ氏は、関税を課す中国製品は最大600億ドル規模になると説明した。
*これらの関税は、昨年8月に開始した中国の米知的財産権・イノベーション侵害状況に関する調査に基づいている。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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