前川喜平前文科次官が佐川宣寿・前理財局長にメッセージ!「本当のことを話したほうがこれからの人生が生きやすい」

前川喜平前文科次官が佐川宣寿・前理財局長にメッセージ!「本当のことを話したほうがこれからの人生が生きやすい」

LITERA 2018.03.18

 早ければ今週、国会でおこなわれるのではないかとみられている佐川宣寿・前理財局長の証人喚問。すでに政府は「佐川主犯説」を喧伝し、麻生太郎財務相が「理財局の一部がやった」「(理財局に騙されたと)認めざるを得ない」などと言うと、財務省の太田充理財局長も「佐川氏の関与が大きかったのではないか」「佐川氏は(改ざんを)知っていたというふうに認識している」と答弁。佐川氏にすべての罪を覆い被せようと必死だ。

 自殺した近畿財務局の職員は「このままでは自分1人の責任にされてしまう」「冷たい」と書き記していたというが、今度は佐川氏にその役割を担わそうとする──犠牲者を出してしまったというのに、その無責任体質は何も変わらないのである。

 そんななか、あの渦中の人物が、佐川氏にこんなメッセージを送っている。

「役人は辞めれば何でも言える。佐川さんにそう教えてあげたい」

 こう話すのは、前川喜平・前文部科学事務次官。加計学園問題では「総理のご意向」文書が存在することを証言するとともに「行政が歪められた」と告発。一方、安倍官邸は「出会い系バー」通いという謀略情報を流し、菅義偉官房長官は「地位に恋々としがみついていた」などと前川氏を猛批判した。現在も、文科省が前川氏の授業を実施した中学校に対し教育委員会を通じて検閲の圧力をかけるなど、いまだに執拗な攻撃を受けている。

 しかし、前川氏はそれでも、佐川氏に“正直に生きるほうがいい”と諭す。昨日放送された『報道特集』(TBS)のインタビューのなかで、前川氏はこう語った。

「(前川氏自身が)公務員だったというよりも、一人の国民として、(佐川氏には)知っておられることをありのままにお話しいただきたいなと思います。そのほうが、佐川さんにとってもね、これから20年、30年と生きる人生のなかで、ほんとうのことを話したほうがこれからの人生が生きやすいのではないかと思いますけどね」

前川喜平氏は改ざんを「『いいからやれ』と誰かが言わないとできない」

 無論、前川氏がこうやって佐川氏にエールを送るのは、政府による「改ざんは佐川氏が自分の答弁に合わせるためにやったこと」という主張が嘘であることを見破っているからだ。

 前川氏は、「行政の意思決定のプロセスを表す文書を答弁に合わせて文書を書き換えるというのはありえないこと」「大胆不敵な不正行為」と述べた上で、官房長として国会対応に当たった経験からも、“政治の力が働かないかぎり、役人がそんなことをやるはずがない”と指摘するのだ。

「『いいからやれ』と誰かが言わないと、通常の国家公務員の神経ではできないことだと思いますけどもね」

「(佐川氏の号令の下で改ざんしたとは)私はちょっと考えられないですけどね。『いいからやれ』という、もっと大きな力があったんじゃないかなと」

「いいからやれ」──。これは加計学園問題において官邸が文科省にかけた圧力と同じ構図だ。その上、事実を実名告発しようと動いた前川氏は前述したように官邸が“出会い系バー通い”なる謀略報道を仕掛けるという露骨すぎる攻撃を受けた。一方、そうした騒動のすぐあとに佐川氏は国税庁長官に昇進している。これは、「上に楯突けば前川氏のように徹底的に叩き潰され、上に従えば佐川氏のように引き立てられる」という官邸による官僚への見せしめでもあったはずだ。

 だが、文書改ざんがあきらかになったことで、佐川氏もまた、トカゲの尻尾切りでかんたんに首をはねられ、すべての責任を押し付けられそうになっている。もしこれで佐川氏が嘘をつき通せば、文書改ざんを命じた側は「国民はこうやって騙せる」と味をしめるだろう。つまり、今後も文書改ざんという国家的犯罪が繰り返されかねないのだ。

前川氏が指摘する改ざんの大きな問題点、膳場貴子も「もっと怒っていい事態」と

 そしてもうひとつ、この文書改ざん問題で忘れてはいけないのは、改ざんされた文書が、昨年の総選挙における投票の判断材料になったという問題だ。前川氏は、こう指摘する。

「つまり、国民が判断する材料が間違っていたわけですからね。これはほんとうに、民主主義の根幹を揺るがす問題だと思いますね。国民を裏切る行為だし、こうやって真性でない虚偽の情報ばかり流されて、それに基づいて国民が判断した。これは国民も判断を間違えますよね。そういう、民主主義の根幹にかかわる問題」

「選挙で丁寧に説明する」と宣言した安倍首相は、結局そんなことは一度もせず、選挙中に登場したメディアではむしろ籠池泰典理事長を犯罪者扱いしたり、朝日新聞攻撃を繰り広げた。しかし、昨年春の段階で改ざん前文書が公開されていれば、あのように人を食った選挙戦などできなかった。文書改ざんの出発点が「私や妻が関係していたら総理も国会議員も辞める」という安倍首相の答弁にあったことは安倍応援団以外の誰もがすでに確信していることだが、文書改ざんは選挙まで歪めていたということは、もっと問題にされるべきだ。

 昨日の『報道特集』では、膳場貴子キャスターが「昨日、内閣府公文書管理委員会の三宅(弘)弁護士と話をしているなかで『去年のいまごろにこの事実が出ていたら、10月の選挙で同じ投票をしていましたか?』と訊かれて、私、ほんとうにハッとしたんですね」と語り、国民に正しい情報を伝えなかったということの問題の重大さを指摘。「わたしたちはもっと怒ってもいい事態」と述べた。

 では、わたしたちが怒る相手は誰なのか──。国会ではすでに佐川氏に罪をなすりつける一方で安倍首相や麻生財務相を庇う醜悪で残酷なショーが展開されているが、そこにこそ、真実がすべて集約されているだろう。

(編集部)

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